ボサノバギターの選び方~ボサノバ5年生目線で~


「ボサノバギターを始めたいけれど、どんなギターを買ったらいいの?」

本記事は、上のような悩みを抱える方向けの記事です。

この記事を書く私は、ボサノバギター歴4年半ほど。30手前でギターを始めギター歴自体も5年半ですが、今は人前で演奏したりする機会をいただいています。

(演奏はこちら)

上の問いに対する私の結論は、

「①ナイロン弦ギター」のうち、「②自分が気に入ったギター」を選ぶ。

です。

「ナイロン弦って?」「自分が気に入ったギターって?」について解説していきます。

プロフィール

aya 
30を目前にギターをはじめ、ボサノバやサンバといったブラジル音楽の沼にはまってしまったギタリスト(弾き語り&ソロギター)です。ギター歴5年半、ボサノバ歴4年半、サンバ歴3年半(2023.1.1現在)。ソロ・グループでのライブ活動をしています。
プロフィールページへ

①「ナイロン弦ギター」を選ぶ

ボサノバという音楽の世界観を表現するのであれば、ナイロン弦ギターを選びます。

「ナイロン弦ギター」とは?

ナイロンでできた弦を使用するギターです。「ガットギター」とも呼ばれます(昔は羊の腸=「ガット」を糸状にして弦にしていたから、とのこと)。1~3弦が「ザ・ナイロン」といったように、透明でツルツルした弦です。4~6弦はというと、見た目は金や銀といった金属色ですが、実際はメッキをした銅線がナイロンにくるくる巻かれています(*1)。指で弾くことを想定されていて、弾いた感じは「柔らかい」印象を受けます。

代表的なのは「クラシックギター」や「フラメンコギター」。どちらもそのギター単体で音を出せる「アコースティックギター」に分類されます(対比するギターとしては、アンプにつないで電気信号を音に変換して出す「エレキギター」。THE ALFEEの高見沢さんが主に演奏しています♪)。

ちなみにアコースティックギターの中でも、ピックでコードを弾いたりアーティストが歌いながら弾き語りしているのを見かけたりするような、いわゆる「フォークギター」というのは、金属の弦を張って演奏するタイプのギターです(こちらは、THE ALFEEの坂崎さんが演奏しています♪♪)。

手前が「エレキギター」、見にくいですが奥が「フォークギター」

「クラシックギター」と「フラメンコギター」の違いについては、

・「クラシックギターは重厚で伸びやかな音色を出す」(*2)
・フラメンコギターは、「歯切れがよく、少し明るい音色になる」(*2)
・「フラメンコギターは、クラシックギターに比べて、厚みが薄い、弦高が低い」(*3)

など、同じナイロン弦を使用するのでもそれぞれに特徴があります。使用されている木材の種類や作り方によって、表現したい音楽に合う質感の音色を出すギターが製作されているのですね。

(補足:「ナイロン弦」以外に「フロロカーボン弦」というワードを見聞きされる方もいるかもしれません。「ナイロン フロロカーボン」で検索すると、釣り糸の解説ページが出てきますが、要は、材質の違いによって、強度やしなやかさなどが異なるので「魚を釣るのにどっちがいいの?」というのが大切なのだと思います。ボサノバやサンバの演奏に関して、ナイロン弦とフロロカーボン弦の良し悪しについてのさかんな議論を、周囲のギタリストからこれまで耳にしたことは一度もありません。最初の段階で特に気にする必要はない、というのが私の現時点での認識です。

*参考*
1)島村楽器イオンモール甲府昭和店「【クラシックギター弦の選び方】初めての弦交換やよりよい弦をお探しの方のためにブランドの違いや品番の特徴をまとめました。」2019.10.20
https://www.shimamura.co.jp/shop/kofu/product/20191020/3986 (2022.12.31参照)

2)島村楽器イオンモール和歌山店「ボサノバを弾きたい!どんなギターを選べばいいの?」 2020.9.1
https://www.shimamura.co.jp/shop/wakayama/product/20200901/767 (2022.12.31参照)

3)JEUGIAの店員さんに私がお聞きした話

なぜ「ナイロン弦ギター」を選ぶのか?

ボサノバを演奏するにあたってなぜナイロン弦ギターを選ぶのかといえば、理由は簡単で、ブラジルでボサノバやサンバの演奏に使われているのがナイロン弦ギターだからです。ボサノバの演奏を聴いてあのギターの「ポロンポロン」の音に魅力を感じておられる方もいると思いますが、まさに「ポロンポロン」はナイロン弦ギターだから出せる音なのです。

極論ギターであれば基本的には6本の弦を張り、原則的には6本の弦をそのまま弾いた時に出る音やその並びは決まっています(「開放弦」と言います)。それゆえに、エレキギターでもフォークギターでもボサノバ曲を演奏することはできます(下の方に書いていますが、私も最初はフォークギターでボサノバを弾いていました)。

しかし「ポロンポロン」にあこがれてボサノバギターを始めるのであれば、ナイロン弦ギターを手に入れましょう。

②「自分が気に入ったギター」を選ぶ

「自分が気に入る」という表現で確認することは、下記のポイントだと考えています。

・身体にフィットする、触り心地が良い
・耳が気持ちいい
・目が楽しい
・お財布にやさしい
・中古の場合は、一通り故障などがないか確認

身体にフィットする、触り心地が良い

身体で抱える楽器なので、自分の身体に合うギターが「適したギター」と言えます。

身体に合っていないと、弾く気になりません。服や靴を買ったとき、なんとなく身体に合っていなかったり、着心地・履き心地が良くないと、使い続けられませんよね。

アコギであれば、服や靴ほどに持った感じが異なる訳ではありませんし、触り心地もだいたい変わりませんが、それでも大きさやフォルムはメーカーや型番で少しずつ異なります。

大事なことは「続ける」ことなので、そのギターに長い時間触れるためにも、自分が「ずっと抱えていたい」「持っていてしっくりくる」と思えるようなギターである必要があります。

耳が気持ちいい

ギターは楽器なので、鳴らして出てきた音が自分の耳にとって「心地よい」と感じられるような音を出すギターである必要があります。

これも、耳に合っていないと弾く気にならないからです。それどころか、弾くのが苦痛になります。嫌な音を出すものからは遠ざかりたいですよね。

もちろんギターの音はギター本体だけでなく弦も影響しますので、音については必ずしもギター本体だけの問題ではありません。しかしボディの大きさや厚さなどで音の響きは変わり、弦はいつでも交換ができますが、ギター本体は気軽に交換はできません。

購入する時はひとまず付属されている弦で音の鳴りを確認せざるを得ませんが、その時点で自分の耳が「いいな」と思う、または、少なくとも「いやだな」と思わないことが、ギターと生活するには不可欠です。

目が楽しい

見た目が気に入ることもとても大切です。自分が毎日見るところに置いておくので、「見るのもイヤ」では困ります。

ギターショップに行けば分かりますが、ぱっと見同じ色合い・同じ形に見えますが、よく見ると違いがあります。装飾や塗装にこだわったギターもあります。

「楽器なのだから、見てくれは二の次だ」という意見もあるかもしれません。

個人の中での優先順位が低いのであればかまわないのですが、「なんとなくかわいい」「なんとなく色がいい」「ここがなんとなくオシャレ」というだけで、自分との距離感が随分と近くなるので、「目に入れても痛くない」(笑)ギターにしましょう。

お財布にやさしい

経済的な無理はしないことは、大切です。

高いギターを無理に買うことが上達に直結するわけではありません。高機能高価格のカメラを買ったとして、もちろん機能が良いからキレイな写真は撮れますが、本人の腕が上達しているわけではないのと同じです。

「あまり安いのは良くない」という意見も見聞きします。それは単に価格の問題ではなく、弾くにあたっての質が自分にとって確保されているか、というのが本質なのだと思います。先に書いているような、音や見た目や作りがちゃんとしているか、自分がそこそこ満足できるか、が大切。けれども初心者がそれを判断するのは難しいから、ある程度の値段の有名メーカー・工房のものが良いよ、というのが「安いのは良くない」の意味だと私は考えています。(もちろん、奮発してギターを買うことで自分の気分が良くなり、結果、継続と上達につながることもありうると思います。)

生活を続けながらギターを続けていくので、自分のお財布が納得できるギターを探しましょう。

その他:中古の場合は一通り故障などがないか確認する

中古で購入したり人から譲り受ける場合は、すぐ使える状態のものかを確認して入手しましょう。

修理が必要だったりすると出鼻をくじかれます。機械にせよ衣類にせよ本にせよ、中古品を購入する際に、機能の確認や傷・汚れなどをチェックするのと同じです。

不備が見つかっても修理をする自信があったり、全然気にしないというであれば問題ありませんが、やはり購入した後にスムーズに始められるよう、故障や不備などがないか確認すると安心だと思います。

【実例】私のギターの選び方

では、私が普段ボサノバを演奏しているギターについて、出会いの経緯と現状をお話しします。

ここまでツラツラ書きましたが、これらは購入に際する私の本能的&割と自然な検討と判断の流れを分解してみたものです。実際は、ポイントは押さえているのですが、けっこう直感的に「うん、これで、だいじょうぶ!」と即決しています(笑)

【ボサノバと出会う】
私のボサノバとの出会いは、習っていたギター教室の先生に「ボサノバ」を紹介され、Antonio Carlos Jobimの「Wave」を習ったことでした。当時持っていたのはYAMAHAのフォークギター一本だったので、金属弦でボサノバのリズムを刻み練習しました。

【ガットギターがほしくなる】
ボサノバ曲の練習を続けているうちに楽しくなったきたので、「ガットギターが欲しいな」と思うようになりました。ボサノバを知って4か月経ったくらいのことだったと思います。

【買いに行ってみる】
別件で先生に教えてもらったギターのリペア&中古販売をしている個人経営のショップに訪れた時、中古クラシックギターがたしか1、2台ほど置いてありました。

【買う】
どんなメーカーのものが良いとかおすすめとか、何にも知らない状態でしたが、きれいだったし気になるところもなかったし、「壊れていなかったらいいや」と即決しました。価格が¥35,000と手を出しやすかったというのも決め手になりました。

【後からギターのことを知る】
そこそこ流通量があり、大手楽器店にも置いてあるようなメーカーのギターであるということは、購入した後に知りました。
↓↓これです↓↓

A-60CWE | Basic (Electric Cutaway) | Products | ARIA 荒井貿易株式会社 Arai & Co., Inc.

【連れ添う】
以来、本記事執筆時点で約4年半一緒に過ごしています。ガットギターはこれ一台です。クラシックギターとして、他のギターが欲しいとは思いません。

【でも、、、フラメンコギターに近いギターがほしい】
現在、私自身はボサノバ曲よりもサンバ曲演奏がメインとなっており、サンバをバリバリ演奏するこの頃、「もう少しカラッとした音がほしい」と感じています。ボサノバであれば今のクラシックギターで問題ないのですが、サンバにはより乾いた音が出ると言われるフラメンコギターに近いギターを、これから探してみたいと考えています。

【(補足)「エレガット」について】
ちなみに今使用しているAria A-60CWEは、ステージなどでアンプに接続すると音をスピーカーから出したりできる機能(ピックアップ)が内蔵されている「エレガット」(エレクトリック・ガットギター)です。
購入時に「ステージでも使えますよ」「ピックアップは、shadowというメーカーのものですよ」とお店の方に丁寧に説明されたような気がしますが、当時の私は「そんな機会は特に目指していないし、使うこともないだろう」と思い、気にも留めていませんでした。
まさか使うことになったのは、サンバの集まりでライブ参加に声をかけられてからです。
ステージ演奏を念頭に置いている人はピックアップがついていたらスムーズに使用できますね。
ついていなくても、歌を歌う用のマイクでギターの音を取ったり、ピックアップやギターマイクを後から取り付けたりすることも可能です。

ボサノバギタースタート時点で気にする必要は特にないと思いました。

おすすめメーカー、ギターは?

「どのメーカー、ギターがおすすめか?」は、私には分かりません。ごめんなさい。

Aria A-60CWEしか持っていないので比較検討したことがないからです。また、書いてきたように、個人によって好みや合う合わないがあるからです。

ただ、私がギターを始めてギターショップやネットなどでよく見るナイロン弦ギターの販売メーカーとして名前を挙げると、下記のようなものがあります。

・YAMAHA
・小平ギター
・K.Yairi
・荒井貿易(Ariaを出しているところ) など

おそらくもっとたくさんあると思いますので、ギターショップに行って店員さんと相談するのが早いように思います。また、比較サイトは色々と出てきますので、参考になるかもしれません。

あとは、「スターターセット」のように、チューナー(弦の音を確認し調整するための電子機器)やギタースタンドなどギターを始めるのに必要な色々な道具がセットされたパッケージも、選択肢の一つとしてありだと思います。実際に、私も人生で一番初めのYAMAHAのフォークギターは、3万くらいのスターターセットで購入しましたので。

まとめ

ボサノバギターを始めるなら、「自分の気に入った、ナイロン弦ギター」を選びましょう。

・ひとまず持って鳴らしてみて、目に、耳に、身体にギターが合うかどうかを確認する。
・お財布を確認する。
・中古品であれば一通り確認する(これはギターでなくても同じですよね)

後で機能が必要になったり、上達してより質を求めるようになったら、その時に考えたら問題ありません。そんな日が来るように、まず大切なことはとにもかくにも「弾き続ける」ということ。そのためには、見るたび弾くたびに思わずニヤニヤしてしまうギターを手に入れましょう!

タイトルとURLをコピーしました