ボサノバギターをやってみたいけど、自分にもできるのかな…
人前でギターを弾きながらボサノバを歌いたいけど、難しそう…
小野リサさんのファンで、いつか自分もボサノバギターを弾いてみたいな…
カフェなどで耳にするボサノバの演奏。ギターのポロンとした優しい響きに憧れますよね。自分も弾いてみたいけど、ギターは難しそう。年齢のことを考えるともう遅いのかな、なんて臆しがちです。なにかを始めたい時って、自分にできるかどうかとても不安になりますよね。
私は30歳手前でギターを始めました。そしてボサノバギターに出会い、人生が変わりました。ギターでボサノバを弾いて歌い始めて5年。そんな「ボサノバギター5年生」なりの見える世界があります。それは、「自分にもできるのかな…」と不安に思ったり、「始めてみたけど上手になるのかな…」と心配になったりする人の、未来に広がる一ページをお見せすることになると思っています。
始めるなら、今。最後まで読んでいただくと、「自分も始めてみようかな!」と力が湧いてくると思います。あなたの新しい一歩に、背中を押せたらさいわいです。
ボサノバギターは、初心者でもできるの?
結論から言えば、できます。プロ演奏者やギター教室で教えているような人も、最初はみな初心者です。
プロ演奏者やギターを教えているような人は、私や今この記事を読まれているあなたよりうんと多くの時間をギターや音楽につぎ込んできています。「初心者」が沢山の経験や時間を積んだ結果、ライブで演奏したり人に教えたりしています。
人生の時間は、有限です。あなたや私に残されている時間を考えると、ぐずぐずしている暇はありません。上達のために最も必要なことは、「早く始めて、長く楽しく続けること」です。
私がギターを続けてみて日々感じるのは、「自分が最も楽しいと思えるようなジャンルや曲に取り組まないと、気持ちも練習も続かない」ということです。「ボサノバギターを弾きたい」のなら、ボサノバギターを今から始めましょう!
「ギターなんて触ったことがないけれど、ボサノバなんて大丈夫かな?」と、それでも不安なそこのあなた。実際に5年続けてきた私がお伝えできる、ボサノバギターを始める5つのメリットをぜひ読んでみてくださいね。
今すぐ始める、ボサノバギターの5つのメリット
一人で遊べる
ボサノバギターは、一人で楽しむには「持ってこい!」です。
ボサノバの曲は基本的に歌であり、歌詞がついています。ギターが1本あれば、自分で弾きながら歌って完結します。パーカッションや他のメロディー楽器が入ったり、場合によっては歌い手が別にいることはありますが、自分が歌いギターを弾けば一つの演奏が完成する手軽さがあります。
「ボサノバギターが弾きたい」という人の中には、ボサノバ特有のメロウな雰囲気や、軽やかで上品な明るさに心惹かれている方も多いと思います。自分でボサノバギターが弾けると、一人でボサノバの心地よさを実演し、ひとしきり酔いしれることができるのです。
ボサノバの演奏にギターを選ぶ利点としては、持ち運びが楽で保管にも場所を取らないということ。気軽に自宅で触り、天気の良い日は公園などで戯れるのもまた一興です。
ボサノバはブラジル生まれの音楽ですが、クラシックギターのようなナイロン弦を使ったギターで演奏されることが多く、アンプを使わないで音を出すことができます。そのため比較的場所を選ばずに演奏することが可能です。
ギターと友だちになれば一対一でずっと遊んでいられるのが、ボサノバギターの大きな利点の一つなのです。
ポルトガル語は親しみやすい
ボサノバのまろやかさを生むのが、使われている言語であるポルトガル語です。日本語とはルーツの異なる言語ですが、日本語ネイティブには比較的とっつきやすいのが特徴です。
ポルトガル語は、フランス語やイタリア語と親戚で、英語ともルーツを共にするインド・ヨーロッパ語族の言語。アルファベットで表記されるので、ややこしい文字を覚える必要はありません。
また、カタカナで発音しても大きく意味が外れないというのが、ありがたい特徴の一つ。もちろん、鼻母音をはじめ日本語とは異なるポルトガル語の美しい響きを自分の口で再現できればなお気持ちが良いので、日々練習しています。
ちなみにポルトガル語由来の言葉は、私たちが普段からよく使う日本語にもなっています。16世紀頃大航海時代においてポルトガル人が来日して以降、鉄砲をはじめとした欧州の文化とともにポルトガル語が日本に流入しました。有名なものとして、「パン」はpão、「金平糖」は砂糖菓子を意味するconfeito、「ボタン」はbotão、といった言葉がポルトガル語に由来するとされています。(*)
時を同じくして、南米大陸に入植した列強諸国のうち、スペインではなくポルトガルが入植した数少ない国の一つが、ブラジルです。そのため、ブラジルの公用語がポルトガル語となっているのです。
歴史的にかかわりのあるポルトガル語がボサノバで使われているというのも、挑戦へのハードルを少し下げてくれるのではないでしょうか?
*参考Web
・外務省「わかる!国際情勢Vol.62 ポルトガルと日本~海がつないだ友好の絆」2010.8.6 https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol62/index.html (2022.11.5参照)
・tandem「カステラだけじゃない!ポルトガル語由来の日本語はこんなにたくさんある」
https://www.tandem.net/ja/blog/portuguese-origin-japanese-words (2022.11.5参照)
飽きない
ボサノバギターを今始めたら、この先暇に悩まされることはありません!
私がボサノバギターの練習用に購入した本『Bossa Nova Handbook1-すぐに使える91曲-(吉野幸子著・中央アート出版社・2010)』には、ボサノバ楽曲のメロディー譜と歌詞が上下巻で計91曲掲載されています。日本で有名なボサノバの歌は一通り掲載されていますが、世界にあるボサノバ曲の全て、ではないはずです。
ボサノバはクラシック、ジャズの影響を受けていますが、親にあたるのがサンバです。サンバと言うと、キラキラの衣装をまとったお姉さんが踊っているイメージが強いですよね。山車と行列で大規模に開催される「サンバカーニバル」とは別に、音楽ジャンルとして発展してきたサンバがあります。
ボサノバギターのリズムは、サンバギターのリズムとほとんど同じです。その違いについて、ネイティブブラジリアンいわく、ボサノバはサンバに比べてより
なめらかで優しい、ゆっくり。サンバほどに打楽器が激しく入らない
ギターにおいては、テンションコード(基本的な3 or 4和音に更に音を追加して色合いを生んだコード)を使ってより浮遊感を生んでいる
とのこと。そのくらいサンバとボサノバは近いものだということが分かります。かくいう私も、ボサノバに出会った1年後くらいにサンバに出会い、以来サンバギターとボサノバギターを行ったり来たりしながら演奏しています。
さらに言えば、ブラジル音楽はボサノバやサンバだけではありません。ブラジルは南米大陸に住む先住民に加え、アフリカ、ヨーロッパ、中東、そして日本からの移民といった、多様な背景を持った人々が集まり文化を形成してきました。広い国土の中でその地域とそこに住む人びとに根ざした音楽が生まれ、融合、進化を続けてきた国です。(*)
ボサノバギターから始めても、その先でサンバ、そしてブラジルで生まれた他のジャンルの音楽に出会う機会が絶えません。ボサノバをスタートとしてブラジル音楽の沼にはまると、その後の人生に飽きる暇がなくなります。
*参考Web
・外務省「わかる!国際情勢Vol.115 ブラジル~日本の反対側にある,多様性に富んだ国」2014.5.26
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol115/index.html (2022.11.5参照)
新しい出会いがある
ボサノバは自分で歌って弾けば一人で完結しますが、続けていると同じくボサノバギターの演奏者に出会えます。例えば、ボサノバギターのレッスンに通えば講師の先生はもちろんのこと、同じ教室に通う生徒さんに出会ったり、発表会では他の人の前で演奏する機会に恵まれたりします。
また、ボサノバ演奏のライブを聴きに行くことで、ボサノバを演奏している人やブラジル音楽の愛好者たちと話をしたり、お店から関連イベントの情報を得たりすることができます。
私にとって大きかったのは、定期的に集まってホーダ・ヂ・サンバ(楽器を持ち寄り、お酒を飲みながら輪になってサンバやボサノバを演奏する集まり)を実施している場に出会ったことです。ギター以外にもサンバやボサノバで使用されている様々な楽器と、それを演奏したり制作したりしている人たちに出会うことが大きな刺激になっています。
聞くところによれば、ボサノバやサンバを通して出会った人が人生の伴侶となったケースも少なくないとのこと。仕事や学校、家族とは異なる「音楽仲間」との出会いが、ボサノバギターを始めた先に訪れます。
自信がつく
ボサノバギターをはじめると、自信がつきます。
ボサノバギターのリズムやコードの押弦は、はじめはとても難しく感じます。ボサノバのリズムを弦で弾くことを「バチーダ」と言いますが、バチーダの刻みは独特で、慣れるのに時間を要します。加えて、「ギターを弾きながら歌う」というのは、同時に複数の動作を行う訳ですから、複雑な行為になります。
そのため、1曲でも、サビ部分だけでも、なんとなく弾けた・歌えた時の喜びはひとしお!少しずつですが、できることは必ず増えます。続けていると、「以前は詰まって止まってばかりいた箇所が、いつのまにか苦労せずにできるようになっていた」ということが、いくつも出てきます。
歩みの速度は個々人で異なりますが、練習を重ね曲に向き合ってきた自分に対して、少しずつ自信を持つことができるようになります。新しいことに挑戦するたびに、メンタルが弱めの私は「自分にはできない…」と今も弱気になりますが、それでも一つずつできることが増えてきました。
また、ギターを弾くことそのものが生活に馴染んだあかつきには、ギターの存在自体が自分の一つの拠り所となります。仕事や自分の生活でつらいことや上手くいかないことがあった時、ギターに触り歌を口ずさむことがストレス発散となります。人間関係がこじれた時も、ギターが自分の近くにあることで、孤独感を感じずに済みます。
「誰が何と言おうと、自分にはギターがある!」と思えることが、自分への自信につながります。
まとめ
「ボサノバギターをやってみたい」と思ったら、今すぐ始めることをおススメする理由を述べました。
①場所を選ばず一人酔いしれ、ずっと遊んでいられる。
②ポルトガル語は親しみやすく、とっつきやすい。
③ボサノバの先にブラジル音楽の沼があり、人生に飽きる暇がなくなる。
④「音楽仲間」との新しい出会いが生まれる。
⑤程よく難しいためできたときの喜びが大きく、自分に自信が持てるようになる。
私がなにかを選択したり進む道に迷ったりした時、思い出す言葉の一つに、フランスの小説家ポール・ブールジェという人の言葉があります。
「考えた通りに生きなさい、さもなくば生きた通りに考えることになる」
自分にできそうかできなさそうかの不安はひとまず横に置いて、まずはボサノバギターとあなたの距離を縮めてみてください。今日からできる「ボサノバギターの始め方」にまとめていますので、読んでみてくださいね。
ゼロからボサノバギターを始めて5年生の私も、時折ボサノバやサンバのライブを実施しています。関西にお住まいの方は、よければいらしてみてくださいね!